MLLの歩み

MLLは、研究調査のためにスリランカを訪れた私(内田涼)がスリランカで実際に見て、体験し、経験したことが原動力となり、スリランカの平和のために活動したいと思う同じ志をもつ人たちとの出会いから生まれた団体です。

自然豊かで美しいスリランカという島では、2009年まで約30年にわたり政府と反政府勢力の間で大きな内戦が続いていました。スリランカはインド洋に浮かぶ小さな島ですが、民族や宗教を基盤とした異なるアイデンティティをもつ集団が入り混じった多様性のある国です。もともとは共存していたその集団は、紛争によりお互いの差異を明確なものにしてしまい、大きな境界線をつくってしまいました。

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発起人の一人である私は、2017年から2018年までスリランカ・コロンボ大学で、平和と紛争研究を行うために一年間留学していました。内戦後の現在、実際に紛争を経験した人たちがどのように紛争を生き抜き、現在生活しているのかを知りたいと思い、私はスリランカに行きました。現地政府の方々の厚意により私が研究調査に訪れたのは、内戦の中心地であった北部州のワウニヤ県でした。そこで、政府や軍の関係の方々、元戦闘員の方々、現地の住民の方々にインタビューを行うためにワウニヤの中心地から数十キロ以上離れた村を毎日訪れました。私が見た現実は非常に難しいものでした。

村を回るなかで、私はいくつかの点に気が付きました。まずは、だれも住んでいない家が目立つことでした。村を案内してくれた村を監督する行政官に話を聞くと、「この辺は産業がなく働く場所がほとんどない。だから、多くの住民たちは、ワウニヤ県に近いアヌラーダプラやジャフナといった大きな都市に出稼ぎに行くんだ。」と説明してくれました。

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一方で、他の村に行くと、それとは反対に、日中でも若者たちが家にいることに気が付きました。その若者たちはこのように説明してくれました。「私たちは内戦のせいで教育を十分に受けることができなかった。以前は、いろんな政府や国際機関が支援をしてくれたが、内戦から10年くらい経つ現在は全く支援がない。普段は日雇いの仕事をしているが、今はあまり仕事がないんだ。」

この現地社会の現実から私は、彼らの生活を守るにはプロジェクトベースの短期的な支援ではなく、「持続性」をもった産業をつくることが重要であると考えました。前者と後者のストーリーに共通するのは、ワウニヤ県には働く機会がほとんどないということでした。確かに、内戦の中心地であったことからの経済発展は遅れており、気候的には乾燥帯で生活しにくく、内戦後10年ほど経ったころから国際的な支援も途絶えてしまいました。

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快く私をコミュニティに受け入れてくれたこの場所と人たちに恩返しをしたいと強く思いました。しかし、感謝の気持ちだけでは何もできないんだということを実感しました。そこで、協力してくれる人びとを集める拠点が必要であると考えました。そして私は、スリランカで生まれたすべての人たちにとって平和な国として誇れる「母なる国(Motherland)」をスリランカの人たちと一緒につくりたいと思い、「Mother Land Lanka」と名付け、MLLを立ち上げました。

その後、スリランカの持続的な平和のために一緒に活動をしてくれる協力者、そして活動をサポートしてくれる支援者を探しました。2019年2月以降、アルヴィス氏、ジャヤラトネ氏、ピヤセーリ氏、梶下氏の協力を得て、ワウニヤ県の現地政府の協力のもとプロジェクトの候補地を探したり、また現地の伝統医療の研究所を訪問したりと、私たちは着実に活動を進めてきました。

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そして、2020年現在、日本の企業から支援を受け、「平和構築」・「ソーシャル・ビジネス」・「研究」の三本柱でスリランカの持続的な平和に資する活動を行うNPOとして正式にMLLを設立する運びとなりました。

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Mother Land Lanka

20/8 PANDIWATTE ROAD, NATTARANPOTHA, KANDY, SRI LANKA
E-mail: motherlandlanka.org[at]gmail.com